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さいきラインニュースが気になる人vol.1~佐伯コスプレフェスタ代表【藤春華鈴さん】~

2021年9月末日、ツイッター上に突如としてとあるアカウントが生まれた。「佐伯コスプレフェスタ@saiki_cosfes」とあり、「10/1 12時に情報解禁します!よろしくお願いします🤲」とだけツイートされていた。

佐伯コスプレフェスタ(twitterより)

”コスプレ”と聞いて、僕の中の過去の記憶が脳裏をよぎってくる。一つは、以前痛車イベントを主催している方が佐伯に訪れた際、文学と歴史の道を歩きながら「ここら辺は、コスプレうけしそうだね。」と言われていたこと、もう一つは観光交流館の趣ある庭園で撮影していたコスプレイヤーとカメラマンを見かけたこと様子であって、そんな需要に感嘆としていたことだ。『こんなイベンターが現れるとは』、と少しニヤついてこのツイートをを眺めていた。アカウントのアイコンは”いらすとや”を流用したもので、流れてくる運営情報は丁寧でこつこつ行われていて、なぜか僕の中ではこのイベントの主催者は”アニメ好きのおじさん”という設定になっていた。

コスプレ文化に触れてこなかった僕には、気になるけれど恐れ多い空間として、ある種の羨望の眼差しでその存在を頭の片隅においやることしかできなかった。そんな僕の状況とは裏腹に佐伯コスプレフェスタは初回イベントを見事に成功させてからというもの、矢継ぎ早やに回を重ね、初開催から半年で4回目を迎えようとしている。そして参加者の規模も回を重ねるごとに膨れ上がり、その人気ぶりに定評が出てきている。

おじさん説であったはずの主催者は僕の予想を大きく外れ、本日の主役であるコスプレイヤー“紅井りんご”さんこと藤春華鈴さんであることが分かった時の僕の驚きが伝わるだろうか。その紅井りんごさんのツイートにて8月から福岡に帰る旨のつぶやきを発見したことから、「今この主催者の想いを聞いておきたい!」という焦燥感が次第に大きくなり勢い余って取材を申し込んでしまっていた。こちとら充分過ぎるほどのおじさんがうら若き乙女に「お話を伺いたいです」と告げる勇気を褒めて欲しい。

それでは、福岡生まれ福岡育ちの藤春さんがなぜ“佐伯コスプレフェスタ”を主催するに至ったかを聞いていきたいと思います。以下、藤春(藤春華鈴さん)、そねだ(さいきラインニュースの中の人)にてお送りします。(取材日:6月22日)

〈INTERVIEW FILE | 02 | 藤春華鈴〉

■サブカルとの出会いと、初めてのコスプレイベントへの参加

――コスプレイヤーとしての一面をお持ち、というか、コスプレイヤーだったからこそ佐伯コスプレフェスタを主催するに至ったと思うのですが、いわゆるサブカル文化への関りはどのように始まったのでしょう?

藤春「私の回りの環境がまさにオタクっていう感じなので、小さい頃からもうアニメやゲームが周りにあったので私自身もまっすぐにオタクになっちゃったっていう感じですね。いとこのお兄ちゃんお姉ちゃんがゲーム好きアニメ好きだったので、ストーカーの様についてまわってました。保育園のころからお兄ちゃんのプレイを見にゲームセンターに行くみたいな。だから、思い返すとそういうのが好きなのは既定路線というか、既にレールが敷かれていたみたいな感じでした。」

――もの心ついた時には、既にでしたか。笑 そこからコスプレというものへの出会いはどんなことがあったんでしょう?

藤春「小学生のころはポケモンとかずっとゲームにハマってて、そこから中学生にあがるころに社会的にもボカロが凄い盛り上がるようになった時期に、初音ミクみたいにかわいい女の子が出てくるようになるんです。そういうキャラを見たり、かわいい音楽を聴いたりってするようになって、画面の中のかわいい女の子に憧れるようになりました。」

――たしかに、ボカロがかなり流行ってる時期ありましたね。懐かしい。

藤春「ボカロといえばなんですけど、その当時ニコニコ動画も流行ってて、私自身も実はニコ生主だったんですよ。笑 それこそニコニコ超会議とかもよく見てて、学生だったので行けはしなかったんですけど、画面越しにレイヤーさんとか歌い手さんとかを見て、そういうのを自分でもやってみたいってなったときに、アニメが好きだったこともあってレイヤーの方に進んだっていう感じです。」

――社会現象でしたねニコ動、いやーでも実施にニコ生主やってるって初めて聞きました。そんな最中のコスプレデビューはどんなとこだったんですか?

藤春「初デビューは、COMIC CITY福岡っていう福岡最大級のイベント、今で言うペイペイドームが会場で大きなイベントやってるんですよね。そこが初めてでした。いやー衝撃でした。『スゲー奴いるー』って。『ホンモノだー!!!』みたいな。そでまでは動画でしか見たことなくて、実物に触れたことが無かったんですよ。そういうイベントに行くと、『画面で見てたのとおんなじやん!、あの動画で見てた様子がまんまいる!』って衝撃でしたね。そっからドはまりしました、むちゃくちゃ楽しかったですね。」

――当時の様子が凄く伝わります。笑 でも、当時は中学生?

藤春「そうなんです。まだ小さかったので、お母さんと一緒に行ってました。コスプレをするって結構異様なことというか、普通に生活しててコスプレってなかなかないじゃないですか。いきなりコスプレするって言ったらけっこう親の心境としてはヤバいと思うんですよ。でも、そんな中でもお母さんとか反対しなかったし、逆に楽しんでましたね。『次はこの衣装どう?』とか『このキャラいいんじゃない?』とか、推してましたね。笑 今でもそんななんですよ。私のコスプレを応援してくれてます。」

――それはいいお母さん。笑 お母さんはちなみにコスプレはしない?

藤春「実は何度かチャレンジしたことがあって。私を見て楽しそうだからやりたくなっちゃったんでしょうね。ちょっと自分もやりたいーって言って、何回か一緒に(イベントに)行ったことがあるんですよ。」

――お母さんいいキャラですねー。ほんと素敵。笑 藤春さんがコスプレをするにあたってはどうやってキャラを選んでますか?

藤春「好きなゲームやアニメに出てくるかわいい女の子っていうのががずっと軸にあります。元々は割と飽き性なところはあってダイエットのための運動とかは三日坊主なんてよくあるんですけど、アニメやゲームはずっと好きですね。そういう点では興味あるものとないものは凄くはっきりしてます。友達にも言われちゃうぐらい。笑」

――趣味としてはアニメやゲームを楽しんで、自己表現としてコスプレがある、と。なんとなく位置関係が見えてきました。イベント参加は中学生からずっと続けてきたんですか?

藤春「そうですね、年に3-4回はドームでそういうイベントがあるんですよ。なので、受験時期とかは除いてほとんど行ってると思いますね。笑 どんだけやりたかったんだって感じですよね。笑」

紅井りんごさん

■進路選択とイベント主催の布石

――はたから見ると熱量が高くて、やりたいコトに一生懸命な藤春さん、進学や就職はどんな選択をされることになったのでしょう?

藤春「高校や大学とかもこれがあるから行きたい!なんてのは全くなくて、行けるところに行くっていうだけでしたね。笑」

――ちなみに大学はどんなところに?

藤春「私は経済学部に行って、とはいえ今は経済のことなんて全く話せませんけど。その中でも金融を専攻してました。それよりほかの授業のほうが興味があって、それがきっかけで今につながっているというのはありますね。実践企画演習といって、周りの企業や市や地域とかと協力して一つのプロジェクトをつくろうよっていう授業で、名前がまさにその通りで、企画したことを実践してみようよっていう授業なんですよ。」

――まったくのゼロからって難しいから凄いですよね。その時にはどんなことをされてたんですか?

藤春「一つは保育園と協力して、園児たちにクリスマス会というのを開くんですよ。踊ったり歌ったりゲームしたり、まさにクリスマス会なんです。私たちが全て始めたという訳ではなくて、それまでに先輩がいて代々続いてきたプロジェクトを引き継いでいくというプロジェクトなんです。保育園の先生方から、今の流行りとかをヒアリングしてそれらを持ちかえってクリスマス会の流れとかを自分たちで考えて、最後に渡すプレゼントも手作りでつくってっていう。私たちは普通の大学生の恰好じゃなくて、サンタさんなんですよ。マジでサンタさんになり切らないといけない、夢を絶対に壊してはいけない。夢を壊さないようにっていうのが一番大変でした。サンタとトナカイ設定で。笑」

――培ってきたコスプレイヤーとしてのスキルが発揮される訳ですね。笑

藤春「私、1年生の時はこの授業とってなくて、2年から4年まで受講したんですよ。でも、私がコスプレをしているみたいなのが学内で噂で広まったのか分からないんですけど、ゼミの先生にこんな子がいるらしいよというのを誰かが伝えたみたいで。そしたら先生から直接、『こんな会あるんだけどサンタとして参加してくれない?』みたいな打診がありましたね。なので、なぜか授業とってないのに1年生からクリスマス会に参加してるみたいな。そんな環境で始まっているので、翌年は自分でこの授業を興味もって受講してという。そしたら、クリスマス会の担当になって「もう役割わかるでしょ?」みたいな感じで、イケるよね、じゃあリーダーでって。」

――いきなり、リーダー。笑 佐伯コスプレフェスタもリーダーという位置ですが、そういうのは余り嫌いではない?

藤春「全然苦手じゃないですね。やる人いないからやるしかないじゃんて。リーダーって責任感はあると思うんです。何か間違いが起きたら全部リーダーのせいとか、多分そんなこんなでみんなやらないのかなって思うんですけど。私の場合は『失敗したら失敗した時じゃん、なるようになるよ。』というテンションなので、拒否するとかはなかったですね。」

――そんな時から何とかなるよって思えるのは、根っこからポジティブなんですね。

藤春「人生ノリと勢いで生きてますから」

■なんの導きか佐伯に至る

――佐伯には新卒で来ることになったんですか?

藤春「そうです。大学では金融について学んでいたということと、人に喜んでもらえるのが大好きなので、九州管内が勤務地で接客のある金融系のお仕事につきました。本当は福岡が大好きなので、福岡で働きたかったんですよ。で、第二候補で大分、第三候補で熊本を選んでました。福岡により近いところ、という選択のつもりだったんですけど。もし福岡じゃないならそこらへんでもいいかなーと。でも、蓋を開けてみたら横は延岡ってほぼほぼ宮崎県じゃないか!って。笑 大分でもこんなところあるんだって、ビックリしましたね。佐伯市ってのも初めて聞きました。最初の配属先発表ってメールで来るんですよ。開けてみたときにどこ?と思って、マップで検索すると現在地からびゅー――んて飛んで。車で片道4時間半、て。私の想像してた大分と違う!ってビックリしましたね。笑」

――なるほどー、それはいい宝くじを引きましたね。ようこそ!それまでは住まいも実家ですよね?いきなり誰も知り合いがいない僻地に。笑

藤春「そうです。周りに知り合いがいて一人暮らしとかではなくて、全く誰も知らないところで独り暮らしをスタートさせるというのがなかなか衝撃的でした。私福岡から来てるので言葉もよくわからなくて。よだきいとかも何言ってるんだろう、っていうぐらいに本当に分からなくて。あと、イントネーションの違いが慣れなくて、大分の人ってだいたい前にアクセントをつけますよね?かれーとか。私たちだったら後ろにアクセントつけるのに、前にアクセントをつける単語が多いので多分知ってる言葉なのにアクセントの違いで何言ってるかわからない状態でした。」

――それは大変でしたね。加えてのこの2年間、コロナの影響も大きかったですよね。

藤春「そうですね。一概にコロナだけではないかもしれませんが、営業するにもお客さんに会いに行ったらダメとか、人数減らしての営業せよとか、接客が好きではいったのに結構辛かったですね。私自身コロナになって、初めてモチベーションが下がりました。イベントが無い、交流する場所も無い、SNSでしかお話ができない。みんなで高めていくはずの存在が関われないんですよね。そして知り合いのいないこの場所だし。というので人生でこれまでにないぐらいモチベーションが下がってました。本当はコスプレは辞めようって思ってたんですよね。こんな場所に来て、イベントもないし面白くないなって。コスプレして人に会って写真撮ってお話してっていうのに面白みがあったのに。」

――ちょっと何やったらいいか分からない状態になっちゃった、と。

藤春「そうなんですよ。それがこっちに来て2年目の最初ぐらいで、一番気持ち的に底みたいなときでしたね。そんな矢先に、コロナがちょっと落ち着いたタイミングで大分で交流イベントがあったんですよ。それを見つけたときに、よし!これに行こうって。で、実際に行ったんですよね。行くと本当にめちゃくちゃ楽しいんですよ。同じようなタイプの人がたくさんいるわけだから、何話してもチョー楽しいみたいな。加えて、私は大分のイベント初めてだったので、みんな知らないんですよ。あの人だれ?みたいな状態から、必死に声かけまくって『福岡から来たんですよー良かったら2ショットとってもらってもいいですか?』って輪を広げまくって。で、その時に話題に上がってたのが大分ではイベントが少ないっていうのがあったんですよ。イベントがそもそも少ないし、あったとしても、大分市か別府かみたいな。私が描いていたザ・大分なんですよね。というのを知って、佐伯のおうちに帰ってきて、こんなところでもイベントやれたらいいよなぁみたいなのはずっと考えていました。無いんだったら作ればいいじゃん!て。それで、どこでやろうかな、て考えてたときはまだこのさいき城山桜ホールは完成してなかったんです。まだ工事中で。何月何日にオープン予定みたいな幕がついてた頃だったんですよ。大きなホールみたいなのができるんだぁって思ってて、実際にできあがってここに来てみたら、これは思いっきり写真に映えるとこじゃん!ってなって」

大分イベント初参加時の紅井りんごさん

――レイヤーとしての目が光ったわけですね。笑

藤春「そうなんですよ、ライトの感じとか、この階段もめっちゃいい写真撮れそう、とかそんなのがあって、ここで一回目をやってみよう、と。」

――そうした想いが佐伯コスプレフェスタに繋がるわけですね。あのイベントは独りで始めたんですか?

藤春「私の職場の上司と一緒に考え始めたというのが始まりですね。私がこういうのやりたいんですって言ったら何それ面白そうだなじゃあ俺もやるーって。そういう感じで二人で始めました。」

――上司の方めっちゃノリ気なんですね。凄い。笑

藤春「めちゃくちゃ乗り気ですね。今も実際にスタッフとして働いてるのは、私の職場の人たちが全員なんです。」

――「職場総動員てすごいなぁ。なかなかできることじゃないですよ」

藤春「本当にありがたいことです。私は何かの会話のきっかけになればいいかななんてのもあって、趣味はコスプレですってどこでも伝えてるんですよ。そしたら大体『えっ?』ってなって、そこから会話が始まるので、よし引っかかったなって。笑 実際会社の履歴書とかにも趣味コスプレって書いちゃうんですよ。そう書いてたら、配属前に今の上司から電話がかかってきて、最初こそ『いついつにスーツ着てきてね』、みたいな業務連絡だったんですよ。が、途中から話が変わって、『仕事の話とは関係ないんだけどさー、履歴書見たけどこの趣味コスプレってなに?』って。やべーそこ突っ込まれるかって思ったんですけど。続いた言葉がなんと『実は自分の娘もコスプレイヤーなんだ』って。いうのが返ってきて。その方は自分の娘のコスプレ衣装とかも作ってるんだという話も聞いて、凄い器用だし理解がある人だったんですよ。」

――初回イベントって言うけれど、細かい注意事項とか丁寧な設計とかは、そういったバックアップもあってのことだったんですね。

藤春「上司の人と仲良くなって『いいやん、それ』ってなったから今がありますね。多分その時に反対されてたらやらなかったと思います。『本業に支障が出るんじゃない?』とか、『もっと仕事に慣れてからね』みたいなことを、本来だったら言われてもおかしくない状態だったにも関わらず、そういう上司の声があったからこそ、会社のみんなとはじめれてるんだと思います。」

■佐伯コスプレフェス

佐伯コスプレフェスタ参加者作品

――僕もイベント運営は経験あるのですが、初回にも関わらず凄くキレイなイベント設計になってように見受けています。参加募集告知から終わった後のフォローから、とても丁寧にやられてる印象です。しかし、結構なハイペースで疲れちゃったりしませんか?

藤春「この日に向けて頑張るというのがある程度明確に決まっているので、そこまでは持ち前のノリと勢いでわーっといっちゃうんですよ。ただ、開催前の最後の一週間に急にやる気をなくしちゃうんですよ。そこまでなると『もうはよイベント当日になってくれんかいな』みたいな。でも、当日はやっぱり楽しい!から、また次も頑張ろうってなりますね。」

――これまでは参加者としてコスプレイベントに参加してたわけですが、今は主催としてという関りになって、心境の変化はありますか?

藤春「参加する側であれば、楽しむぞー!ぐらいの気持ちで行けるんです。そしてやっぱり楽しい!で帰れる。けど、主催側になると参加してくれるレイヤーさんやカメラマンさんがどうやったらもっと喜んでもらえるだろうとか、どうやったら今日一日楽しんでもらえるか、とか、逆にそう思われなかったらどうしようみたいな不安と共にここに来ます。いろいろ入り交ざった感情ですね。」

――主催側のイベント当日の不安感あるあるですね。

藤春「そうなんです。でも、なんとかするしかないって気持ちはいつも思ってて、なんとかやりとげてます。笑」

――参加者の属性で言うとどんな感じですか?

藤春「メインはやっぱり大分ですけど、本当に九州からいらしてくれてて、長崎や鹿児島の方とか、山口から反応してくれる方もいますね。年齢で言うと十代が2-3割と少なくない感じです。嬉しいのが、私が大分のイベントで知り合ったカメラマンさんやコスプレイヤーさんに関しては、ほぼほぼ皆勤賞で参加してくれてます。そういう人たちの声があったから頑張ろうとおもえたし、来てくれたみんなが『いいイベントできたねー』って、広めてくれたりしてるのもあって、回を追うごとに人数がどんどん増えて行ってるという状態ですね。」

――イベントの今後の予定について教えてください。

藤春「7月9日の大運動会と、7月16日のナイトイベントは既に告知していて、月一ぐらいで既に計画を練っています。」

――いやはや相変わらず凄いペース!

■未来の話

――そんな藤春さんにお話を聞きたいと思ったきっかけは、佐伯を離れるというツイートを見て、今聞いておかないと後悔しそう。と、思ったのがきっかけでした。

藤春「そうですね。転職という形で、別のお仕事に行くというのがあって、佐伯を離れて福岡に戻るということになります。今の職場が嫌だとかは一切ないんですよ。だって、このイベントを一緒に応援してくれてる仲間がいるのに、それを辞めるってけっこうダメージ強いところではあったんですよ。ただ、私としてはこのイベントを続けていくための営業スキルであったりとかそういうのを身に着けたくて。今だとカウンターに座って受け身の姿勢という、外に出向いてという形があまりなかったんですよ。どうしてもこのままじゃ自分にやりがいが感じられなくて、スキルととしても身についていかないなと思って。これからはバリバリの営業として企業や法人さんに自分から出向いて行って、こういう考え方があって会社が成り立っているのかとかそういう学びを全部イベントに取り込んでやろうと思って。」

――もはやイベントのための転職なんですね。

藤春「そうなんですよ、私の人生の中でこのイベントが中心にあって。なので、これをやり続けるために、盛り上げるために対企業や対法人のスキルをもっと高めていきたいというのがありました。そこで、『もう辞めるー――て』伝えました。でも、上司もそのことに関して何もビックリしてなくて。というのも、上司の方と1対1で話をするタイミングがあって、『このまま中で座っておく仕事は向いてないよね、というか、型にハマれないタイプだよね』って言われたんですよ。私も『そうですね、どちらかというと外に出て営業に出ていくみたいなことをやりたいです』って、応えてました。実際現職でも外向けのお仕事ってあるんですけど、コロナの影響というのもあって、なんだか仕事に対して燃え切らないもどかしさがずっとあったんですよ。それがイベントをきっかけとして、燃え上がったという感じです。その後に、上司の方からも『外向けの営業の方が向いていると思うし、目標を決めたらなんでもやれるじゃない、そっちで頑張ってほしいという思いがある』って言われて。『分かりました、では、いろいろ探してみます』って会議は終わったんですけど。それまで転職は念頭にあって活動はしてたんですけど、職場の雰囲気もいいしん、なぜ?という部分が明確じゃなかったんです。自分にとって居心地のいい場所を離れずにこのままここでイベント続けるのもいいんじゃない?って思ってた。でも、その会議で上司にそういうことを言われて、私の中では心が落ち着いて臨むことができたからか、その後にうけた会社は一気に内定まで頂けましたね。」

――どこまでも素敵な上司さんなんですね。佐伯コスプレフェスタの展望としては?

藤春「これからは、福岡でも同じような活動をしたいと思ってまして、福岡を本部、佐伯を支部という位置づけで活動していきたいないな、と。月に1度は行っていく予定なので、月1では佐伯にいると思います。私が住んできた町がおもしろくないなんて、嫌なので。それなら、面白いところに変えてやろうという思い出やってみます。私自身イベントを始めてまだ日が浅いので、企業や飲食店さんとの関りがまだありません。よければ、今後コラボなどをして一緒にまちを盛り上げて頂けたら嬉しいので一緒に案を考えれたらと思います。例えば、レイヤーさん達は“アフター”と呼んでるお疲れ様会とかあるんですけど、『イベント終了後にアフターやってもいいよ!』みたいなクーポン発行とかして頂けたら嬉しいなと思います。あとは、こんな場所もいいよ!みたいなのがあれば教えてもらえると嬉しいですね。廃校とか学校需要も高いので、土地とか施設管理の人がいれば一緒に盛り上げていきたいです。」

――我々一般人も、楽しそうなんで関わりたいと思うんですけど、やっぱコスプレしたほうがいいですか?

藤春「ぜひコスプレしてこういう感じを楽しんで欲しいなとは思うんです。でも、そういう中にどっぷりという形だけでなくても、SNSとかで回ってきたらシェアするなどして皆に広めてくれたら、周りの人たちが佐伯にくるきっかけになるかもしれないので、RTするだけでもコメントいただけるでも、反応があると嬉しいです。そこで、佐伯どこにあるのー?みたいな人にも情報が届くきっかけになればいいなーなんて。ただ、一般の方の写真撮影は、レイヤーさん界隈のルールとかあるので今のところは遠慮していただくようにしてます。無加工でSNSに載せるとかはNGなんですよ。」

――なるほど、それでは引き続き応援をしていきつつ、どっかのタイミングでご指導お願いします。笑

藤春「ということで、引き続き佐伯との関りは続くので宜しくお願いします。あと、転職先は福岡のハズなんですけど、大分支社ができるという噂がありまして。笑」

――めちゃめちゃフラグ立ってますね。

藤春「そのフラグは外れて欲しいと心から思ってます。笑」

次回イベント予告:7/16開催分

■エピローグ

 熱量の高い人と接するとこちらまで元気をもらえる。取材後の雑談で、藤春さんは「年齢なんて関係ない、人間と人間の付き合いをしたい」とも言っていて、これは正にそうだなぁと実感したものだ。年齢ではなく、どう生きていくか。特に、藤春さんの転職エピソードは、これまで何となく決めてきた進路選択に対して、趣味のフィールドであったコスプレというものが主軸になり、その軸をより強固にしていくための決断をしたという変化を孕んでいることにいたく感心をした。老若ではなく、自身の本音に対してより素直になれるように成長していく姿。取材を終えた後、私自身の新しい扉としてコスプレをやってみるという選択肢が眼前に現れたのであった。

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