見えないものが見えたなら〜前代未聞のレコ発ライブ後編

2月19日土曜日、撮影当日。
18時から22時まで借りれたさいき城山桜ホールの小ホール。
18時過ぎに到着するとみんな先に準備を始めてくれていた。
工藤くんは勇ちゃんと二人で自分の事務所から観葉植物やベンチ、マネキンなどをわざわざ持ってきて会場の雰囲気を作ってくれていた。
豪くんやJ も到着。
豪くんには照明を、Jと勇ちゃんには工藤くんと同じくカメラを持って映像を撮ってもらうことになった。
赤フン山岡はドライアイスを10キロ買ってきてスモークの演出を試みている。
シュートは音響のセッティングをしている。
ひかるくんは家で奥さんに「出ていくな」と止められている(笑)。
みんなバラバラのことをしているけど、もう言葉での意志共有は必要ないくらいのメンバーになった。 

演奏する曲も当日決めた。
演奏中のことは覚えていない。

<演奏曲>
1.バカの歌
2.仏壇のダンスホール
3.人間
4.見えないものが見えたなら(新曲)

『サイキシミンのレコ発』ということはこの時既にどうでも良くなっていて、このレコ発ライブに関わってくれている人たちに納得してもらえる、報いることができるようなライブをしたいという思いだけだった。
新曲の「見えないものが見えたなら」も歌詞を間違えたりしたけど、なんとか演奏できたと思う。
この曲は初めてみんなで作った大事な曲だ。レコ発ライブで新曲っていうのも変だけど、演奏できて良かった。
もともと4曲の予定だったけど、ひかるくんが「もう1曲やりましょう」と言った。
奥さんに怒られてよっぽど家に帰りたくないんだなと思った。
急遽、5曲目「街」を演奏した。
結果的にひかるくんが言い出したあと一曲で追加した「街」がとても良かった。

ギリギリの時間で撤収完了し、工藤くんの事務所で編集を見守る。
その傍でひかるくんが音のミックス作業。
ひかるくん、「帰ってくるな」って言われたらしい(笑)。
ひかるくんの奥さん、本当にごめんなさい!
勇ちゃんも残ってくれて一緒に編集を見てた。
 編集している映像を見てはじめてわかる、サイキシミンのみんなの良い演奏、良いパフォーマンス。
そして、素晴らしい魂の映像、ホールと音に命を吹き込んでくれた照明。
このメンバーと一緒にこんな遊びができて本当に幸せだと感じた。
感謝の気持ちを表すには多少なりのお金を渡したいなという気持ちも昔はあったけど、なんかもう今はそういうのじゃないな。 みんなが何かやりたいってなった時はすぐに駆けつけたいと思う。
工藤くん、豪くん、J、勇ちゃん。本当にありがとう。

時計を見ると既に2月20日、日曜日になっていた。

2月20日、13時53分。
工藤くんから編集した動画が送られてきたので、早速ボギーさんに送る。
あとは待つのみ。

2月21日、月曜日。
ボギーさんより連絡。
最初のトーク部分についてやりとりをし、撮り直すこととなった。
仕事が終わってゲリラ的にさいき城山桜ホールの小ホール前に行き、妻に撮ってもらい撮影。
近くで勉強してる女子高生に笑われる。
そりゃそうだ、おっさんがカメラに向かって独り言言ってるだけだもんね。

 2月22日、火曜日。
ライブ当日。
自分が出ない自分たちの名前がついたレコ発ライブ。
貴重な経験になることは間違いなしなのだけど、こんなに緊張するものなのか…。
当日夕方、ツイッターにて今日のライブに飛び入り出演者との情報。
その人はオクムラユウスケさん。ユウスケさんがボギーさんに飛び入りさせてくれと言ったらしい。うおー!と興奮したが、ユウスケさんの優しさが沁み渡ってきてジーンときた。 なんて優しい人なんやろう。

いよいよ18時50分。ライブが始まる。
一応建前は生リモート配信ライブの予定!
なのに家で飯食ってる俺!

ツイッターの実況だけでは何がどうなっているのか全くわからなくて、「教えてくださいー」と呟いたら、ポカムス藤田さんや鹿子さんらが写真を送ってきてくれた。
夕方のユウスケさんのジーンがまだ体にいっぱいで抜けてないのに、さらにジーン…。

 カシナポhakuさんからテレビ電話がかかって「わーハクさんから電話だー」と喜んで通話ボタンを押すも、瞬時に出たらまずいことに気づき終了ボタンを押し、あとはひたすら着信バイブに震えていました。
hakuさんありがとう〜!

対バンの皆さんのライブが続く。
フアリナは実はまだ対バンしたことない。初対バン楽しみにしていたのに。林田さんには40人弾き語り忘年会の時に「レコ発お願いします〜えへへ」「お〜大谷くんよろしく、えへへ」と話していた。ライブ中に「またやろうね」と言ってくれていて嬉しかった。 生フアリナ今度こそ観たいな。林田さん、フアリナのみなさんありがとうございました!

カシミールナポレオンはKさんがアルミホイルふんどしにサングラス、アルミホイルハープ。hakuさんがオセロ盤ギターとサイキシミン愛溢れる格好に笑って泣けた。カシナポの2人と出会えて本当に良かったなと思うし、これからもこの縁をずっと続けていきたい。
Kさん、今度「街」の入り方教えるね!

ザ・ガーデナーズ、楢崎さんは「サイキシミンと全曲一緒にやろうと思ったのにな〜」ととても残念がってくれた。楢崎さんともたまにしか会わないけど長い付き合いになって、いつも気さくに接してくれる良い先輩だ。ローリング土手をカバーしてくれていて、選曲がすごい意外でびっくりしたけど、コード感とかちょっと変わってて雰囲気もまたサイキシミンのとは違ってすごい良かった!また是非ステージにあげてください!

ボギーさんはバカの歌いつも歌ってくれて、その映像俺もめちゃくちゃ観るので最近「今のボギーさんっぽい歌い方やな〜」と歌いながら思うこともあるくらい。ボギーさんに歌を褒められることで自分の歌に自信を持つことができた。今回の色々な流れも含めてボギーさんがいてくれて本当に良かった。ボギーさんへの思いは語り尽くせないけど来世のピロートークでたっぷりと囁きますね!カリフォルニアの青いバカ、最高でした!

ボットンズ。実は出演キャンセルが決まった時に対バンの皆さんにお詫びの連絡をしたのだけど、ふーさんに連絡するのが一番気が重かった。だってきっとボットンズならライブキャンセルなんてしないと思うから。ふーさんに「やっぱお前らもその程度かよ」って思われそうで、実際思われてもしょうがないんだけど、それがなんとなく申し訳ないと言うか、なんと言うか…。
で連絡したら「大谷くんまたやろうぜ〜」って返事をくれて少し安心した。
ライブ中キラくんが「スクリーン(配信)って何?殺す」って言ってくれてまたさらにホッとした。みんなが「キャンセル仕方ない」と言いたいことを言わず飲み込んでくれる中、その分申し訳なさも増していっていた面もある。でも自分の中にはこれで良かったのかという気持ちはずっとあり続けていたので、俺は情けないけれど誰かにそうやって怒って欲しかったのかもしれない。 
MCでふーさんにキラくんと俺の挨拶の恥ずかしい話を全世界に発信されて顔から火が出ました。 
あと、俺は勝手に仲良しと思ってますから!大好きです! 

ここで飛び入りのオクムラユウスケさん。
冒頭の「4人の最高のバカなロックスターに捧げます」で我慢していた気持ちがぶわぁ〜と溢れ出した。今回感じたみなさんの、ライブハウスの温かさが凝縮されていた。ユウスケさんがどんな気持ちで飛び入りしてくれたのか本当のところはわからないけど、多分俺が思っている何倍もの気持ちの中でユウスケさんが動いてくれたんだと思っている。
ユウスケさんまた飲みましょう!相互カバーの話も忘れてません!「街」そして「ロックスター」最高でした!

そして我々サイキシミンのライブ映像。
もう本当にレコ発なんかどうでも良かった。この最高のチームで撮った映像をみんなに観て欲しかったし、絶対に世界一格好良くなる夜に自分達も関われたことただただが嬉しい。
最初のトークのやり取りがやっぱりサイコパスになったけど、あれはあれで良いんだろうな(笑)。

そしてなんと当日「サイキシミンを観にきた」と入ってくれたお客さんが数名いたとのこと。感謝しかないよそんなの…。満足いただけたでしょうか?きっと!そう信じてます!ありがとうございます!

すべてが終わり、ふと考えた。
配信ライブも増えてきた昨今、『ライブ=生』とは言えないんじゃないだろうか。
じゃあライブとはなんなのだろう。
生ではなかったけど、確かに俺たちはあの場所にいて、生かされていた。
『ライブ』とは『生きること』そのものなんじゃないだろうか 。
 それならば主役がいないレコ発ライブ、こんなにライブなライブはなかった。
みんなみんな、本当にありがとう。

2月24日木曜日、戦争が始まった。
欲望のために無くなってしまって良い命なんてないに決まっている。
何が正しく何が間違っているのかわからない世の中で、「答えはないんだよ」という台詞でさえ答えのように感じる世の中だけど、これだけは言える。

戦争反対。
戦争反対。
戦争反対。

見えないものは見えぬまま生きていくしかない。生きていくべきなのだと思う。
それでも俺たちはは想像し、行動することをやめてはいけない。 

『ライブ』を続けていこう。

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