Best Of VOID 2022

VOID編集部が独自の基準でジャンルを横断した2022年のBEST10を発表!

第10位 剣持麟太郎

高平展望公園の指定管理が切り替わり、新しい責任者となった剣持麟太郎は山形県出身の23才。新卒で佐伯市蒲江に移住したサッカーの元国体選手は、自身の理想を追求するあまり4月のオープンを大幅に遅らせてまで施設の内装にこだわった(2022年12月現在未完)。夏には台風でバンガローの屋根が吹き飛ばされる災難もあり、疾風怒濤の一年を過ごした。

第9位 THE FIRST SLAM DUNK

国民的漫画『スラムダンク』の待望の映画化。脚本・監督を原作者が務める、という異例の企画でありながら、国内アニメ映画の新境地をたったの一本で切り開いてしまった、井上雄彦の規格外の才能を改めて世に知らしめた記念碑的傑作。オリジナルは20年前の物語だが、2022年の映画として完璧に再構築している。サイキシミンやTMOVEもその影響を公言済みだ。

第8位 るんるん寮

さんかくワサビのオーナー・中村香純が手掛ける学生寮が、数々の試練を乗り越えて完成。普遍的な二階建て一軒家をDIYで改装し、最大10人の共同生活を可能にした。住居者の個室はもちろん、広々としたキッチンや供用スペースの他、男女別のトイレとシャワールームも完備。「投げ銭」というアナーキーな価値観を地域に根付かせた稀代の女傑らしい、実験と遊び心に満ちた空間になっている。

第7位 TURNS vol.51

界隈ではもっとも権威あるメディアの一つ、『TURNS』に船頭町が掲載された。後藤好信と河野功寛の長年の活動を知るものとしては無視できないニュースで、改めて彼らの巨大さを確認することになった。

第6位 ロクディムにわか

オグリキカクの小来栖龍法と大西衿沙が、即興パフォーマンス集団「ロクディム」の別府ビーコンプラザ公演を強行した。普段は200人規模の小劇場で活動する劇団の公演で合計2400人の集客を目論む無茶な試みは、周囲の友人たちを巻き込んで大騒動に発展。当日に至るまでのプロセスさえもエンターテイメントに昇華し、存分に楽しませてくれた。

https://www.youtube.com/watch?v=U0XuHeJMNAc

第5位 I WANNA GO TO THE BEACH(ナワビー)

マドモアゼル真央の主宰するアパレル・ブランド、通称「ワナビー」は年間を通して奔走し続けた。藍彩とのコラボ商品、coffee5でのポップアップ、キービジュアルにPhotoJを起用し、常にインスタグラムのタイムラインをジャックしていた。ワンポイントのシンプルな刺繍が特徴のワナビーだが、その裏にはマドちゃんの尋常ならざる行動力が隠されている。

第4位 国際夜市

ブイ・ホン・ロアンが佐伯市地域おこし協力隊に就任したことによって、この街の外国人を取り巻く環境はゆるやかに変化しつつある。さいき城山桜ホールの二周年記念として行われた国際夜市は、初めて外国人が主体となって実行した企画だ。サポートに関わったサイクルショップやまうちの金井シュートは「日本人のための国際交流ではなく、外国人のための国際交流になっていた。政治や経済に縛られないイベントを開催するのは難しいが、よくやったと思う」と評価する。このパーティーを機に、スリランカ出身のサンジーワが本格的に飲食店を開店させる予定だ。続報を待ちたい。

第3位 クリトリック・リス

今年の魔界フェスで大きなインパクトを残したクリトリック・リスだが、その支持者は一筋縄ではいかない地域の異端児が多数を占める。特に『おっさんライオット』のパフォーマンスで涙した人は少なくない。ポジティブを強要するJPOPにはどうしても共感できない人たちに向けた直球の人生賛歌がこの街に響いたことの意義は大きい。

第2位 スカイ・エヴァンス

カリフォルニアからの訪問者は、この街に暮らす我々にとって脅威的だった。先進的知見が隠し切れない18才の美少年に大人たちは喜んで振り回されたが、ハイテクノロジーでハイカルチャーな彼の言動は【自分らは日本の田舎町の住人である】という現実を相対的に突き付けてきた。まもなくボストン大学に進学し、経済学を専攻するという。送別会で見せた、るんるん寮に在籍する高校生とのお別れの瞬間は、今年もっとも美しかった光景の一つだろう。

第1位 トコナツPANDAふぇす

多種多様な属性の人たちが集うパーティーは、予期せぬアクシデントも込みで嗜むべきだ。それぞれが個人的な事情を持ち込んで、身勝手に発露するのが我々の志向するパーティーである。ただし、その場所には素晴らしい音楽が鳴っていなければならない。何より難しいのは、そういった空間は計画してできるものではない、ということだ。偶然が重なった末に、全ての要素が詰まったトコナツPANDAふぇすは、来年に向けての一つの指針になるだろう。会場が喜怒哀楽すべての感情をコンプリートした奇跡みたいな時間帯は、2022年のベストに相応しいカオスを体現していた。

VOID Best10 2022
第10位 剣持麟太郎
第9位 「THE FIRST SLUM DUNK」
第8位 るんるん寮
第7位 「TURNS vol.51」
第6位 ロクディムにわか
第5位 I WANNA GO TO THE BEACH
弟4位 国際夜市
第3位 クリトリック・リス
第2位 スカイ・エヴァンス
第1位 トコナツPANDAふぇす
MVP 小栗栖龍法

編集後記:今年もたくさんお世話になりました。2023年は新しい挑戦が幾つか控えてます。めちゃくちゃになって爆発すると思いますが、優しく見守って頂けると幸いです。それでは、良いお年を〜!

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