A DAY IN THE SAIKI – 第二回「大腸炎」

TMOVEの日常・ドキュメント・シリーズ

2021/7/27


腹痛がひどく、病院に駆け込んだら大腸炎と診断されてすぐに入院した。まる4日間断食し、今日からやっと(ほぼ水みたいな)お粥を食べれるようになった。等間隔で看護婦が見回りに来るものの、何にも邪魔されない自分だけの時間をこんなに長く持てる機会は滅多にない。痛みが和らいでからは、滞ってた事務作業を進めたり、アマゾンプライムで映画を一気見したりなど。特に昨夜の『コクソン/哭声』はトラウマ級の面白さだったし、ヤング・サグの新作もヤバかった。あとスケート・ボードで日本人選手が金メダルを獲ってて、先日取材した津久見滑板倶楽部のメンバーを思い出したりした。つまり、精神的にはかなり充実した入院生活を送れてて、なるほど、最近の暮らしには孤独が足りてなかったのかもしれないと気付いた。独りになって安堵してるのをはっきりと自覚した。

七階の病室から中心市街地を見下ろすと、実際よりも広くて賑やかに映る。しかし、それにしても立派な都市だと思った。人が暮らすにはもう十分だろう。目下には東小学校のグラウンドがあって、子供たちの遊び声が聞こえる。右側から城山が広がった先の、ちょうど正面奥にこの町並みにそぐわない異質な黒い建物が確認できる。いつもは大体その辺りを中心に活動してて、生活の殆どをこの半径50mくらいで済ませてるんじゃないかと思う。事務所の隣のカフェも、向かいの薬局屋も友達だ。仕事仲間も、ご飯処も、酒場もすぐ近くにある。そうやって改めて町を見ると、少なくとも今の自分にはこれ以上は何もいらないなと思えた。

とはいえ、そう簡単にはいかないのが現実である。このコラムだってそう。ローカル・ウェブ・メディア「GOOD MOOD VOID」は、仲間と新しい遊び場所を作った、という感じではあるんだけど、大きな必要性を感じて立ち上げたのも事実で、実際にこれを作らないことには先に進めなかった。自分たちの生活をより楽しくするために、実験的な試みではあるものの確信を持って運営している。少しずつ着実に面白くしていくので、たまにチェックしてくれたら嬉しい。

やっぱり入院の季語は夏だよな、と思う。

written by 工藤智之(https://www.facebook.com/profile.php?id=100041482571978):京都造形芸術大学を卒業した後、東京で多くの映像制作に関わる。2019年の春に帰郷し、映像制作事務所「TMOVE」を設立。事務所内のカウンターバー「ニューメキシコ」の企画運営や、ローカルメディア「GOOD MOOD VOID」の立ち上げなど、映像制作を軸にしながらもその活動は多岐にわたる

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