「ボキー家族」の夜

佐伯市でのライブは四年振りだという。当時の会場も今日と同じく「投げ銭ゲストハウス さんかくワサビ」。満を持しての凱旋となった。四年という歳月が長いのか短いのかは分からないけれど、この期間の出来事を振り返れば決して短いとは言い難い。まして、ボギー家族はその名の通りファミリーである。小学六年生が高校一年生になることを思えば、その時間の重さを想像できるはずだ(四年前といえば、わたしはまだ東京都在住で、のちに帰郷することになるとは考えてもいなかった)。

ライブのわずか数時間前、coffee5で行われたサプライズ結婚式の神父を務めたボギーと、挙式に参列したその家族は、コロナ渦の混沌を軽快に笑い飛ばし、「バカになりましょう」と説くいつものステージを披露した。タフでクレバーなそのファミリーの歌は、この日の流れとして、必然的に新郎新婦の門出を祝福するような明るさをまとっていたと思う。『What A Wonderful World』の超絶オリジナルカバーで〆られた夜、会場となった「さんかくワサビ」のオーナーこそがサプライズを仕掛けられた新婦だ。

四年前がどんなライブだったかは知る由もないが、きっと全く違うステージだったに違いない。今年で二十歳になると言っていたモンド君は十六歳、十歳になる今ちゃんは六歳である。オープン直後にコロナに見舞われたさんかくワサビも、当時は完成前後でまだ本格営業をはじめる前だった。

つまり、コロナの混乱がなければこの日のライブもなかったのだ。少なくともボギー家族が佐伯市でライブをするのに四年の歳月は必要なかっただろうし、『自粛のうた』や『はじめてのうた』も生まれていなかった。もしかしたら、今日、めでたく式を挙げた二人も結ばれていなかったかもしれない。ボギー家族のライブを通じて、そんなことを思った2023年2月22日の夜。

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